動画モード解析 VMA(Video Mode Analysis)とは何か?

この技術は、平易にいえば、カメラ映像(動画)から振動の様子(動きのパターン)を見ることができる解析技術です。従来のようにセンサーを貼り付ける必要はありません。カメラで動画撮影するだけといえば誤解を招く面もありますが、実際には、iPhoneなどのスマートフォンで、そのモード(振動の固有の動きのパターン)を的確に捉えることもあります。
カメラで撮影した動画をもとに、わずかな変化(揺れ・動き)をピクセル単位で検出し、どの部分がどのように動いているかを可視化します(これをオプティカルフロー技術と呼びます)。たとえば金属板の共振やモータの微振動など、目では見えない変形や振動モードを映像として「見える化」することができます。
本技術の原理として、動画画像上の各部位の明度や陰影のパターンの動きを解析します。たとえば、白黒白や黒黒白といった、その部分に特有の明度パターンが、次の瞬間どこに移動したかを、ピクセル単位の見かけの速度(フロー)として計算します。あらかじめ画像上の長さ(cmやmm)を定義しておけば、感度係数=ピクセル単位あたりの長さを求めることができるため、絶対的な変位を算出できます。これにより通常のモード解析と同様の解析が可能になります。このように光の明暗のパターンとその移動の流れ(フロー)から変位を計算する技術が、オプティカルフロー(Optical Flow:光の流れ)です。
当該技術は、非接触モード解析技術として研究用途から実務ツールへと進化してきました。空間分離(Deep Filtering)や実稼働モード解析(OMA)への対応、加速度・速度・変位の変換の自由度の確保、さらにCAE連携・実機試験・現場診断まで一気通貫で行える段階に至っています。その結果、工程やコストの削減が期待できる一方で、私どもユーザー側にも振動計測・解析のパラダイムシフトが求められます。
VMA(Video Mode Analysis)すなわち動画モード解析は、用語・手法ともにまだ広く認知されているとはいえません。しかし、原理は比較的理解しやすく、結果も得やすいため、一旦評価工程で確立されれば、比較的速い段階で普及する可能性があると考えられます。もちろん、この技術はマジックではありません。カメラと対象物の設定条件など一定のノウハウが必要であり、絶対的な変位をどのように担保するかについては、重要な課題となります。
※ここでいう白黒というのはあくまで明度(明るさ)の差をたとえたものであり色のパターンという意味ではありません
※もちろん動画上のピクセルの座標は変わりません。変化するのは対象物の動きであり、その各部位の明るさは変わらないと仮定すれば(これをBrightness Constancy Assumptionといいます)、同じ明るさを持つ部位が、どの座標にあるピクセルへ移動したかを検知できます。実は我々ヒトの眼も、明るさや模様の変化を手掛かりにして、モノの動きを捉えているわけです
※このように光(Optical)の明るさのパターンの流れ(Flow)を解析(Analysis)するという意味で、Optical Flowと理解することができます